この世でいちばん大事な「カネ」の話
第十九条
国又は
地方公共団体の職員が、職務上請求する場合には、
手数料を納めることを要しない。
一般人が手数料を払って得られる情報も、公務員が職務上請求すれば無料になる。
その根拠になるのが、上に引用した登記手数料令19条である。
紙の時代なら、自治体職員に登記簿の簿冊をドサッと渡して勝手に見てもらえばよかったわけだが、コンピューター化されてしまうと、いちいち入力して印刷しなければならないから、その分のシステム使用料とか手間賃とかを誰が負担するのか、という問題が起きる。
そして、その分は一般人の手数料に上乗せするしかないので、ただでさえ急激に値上げしていった登記手数料が更に上がるという問題に発展するのであります。
ちょっと、しつこいけど、国会で繰り返し議論になっているので引用する。
○山田委員
私の持ち時間が参りましたのでここまでにいたしますけれども、今るるやりとりをさせていただきましたコンピューター化に伴う移記ミスが非常に多い、そういう事情の中で、それに関連をする閉鎖登記簿を閲覧せざるを得ない状況が一方にあり、それはすなわち国民負担を増大させるということに直結する問題であり、そしてもう一方、きょうは議論できませんでしたけれども、国、地方公共団体あるいは公社公団、特殊法人等が請求をする謄抄本あるいは証明書等につきましては、これは手数料を納めること不要というふうにされているわけです。
免除されておるわけでございます。
しかし、登記特別会計というものが設置をされて、そのもとでコンピューター化の大事業を進めていく、あるいはまた登記簿謄抄本等のそういう登記情報を供給するコストというものを賄わなければならないという制度のもとで、いつまでも国等の請求に係る部分が手数料免除のままでいいのかどうか、私はこれは民事行政審議会の答申にもございますように、国等においても受益者たる立場においてやはり登記手数料は支払うべきである、こう考えるわけでございます。
そういうことがございますのに、前回改定の時期から数年経過したからということで来年四月一日から登記手数料の値上げに踏み切ろうとなされている、あるいは踏み切ったというやり方は国民は納得しないのではないか、私はこのように思います。
したがって、一切値上げをしてはならぬということより、むしろ、値上げをなさる前に、登記手数料を引き上げる前にやるべきことが幾つもあるんじゃないですかということを私は申し上げたいわけでございます。
○紀平悌子君
民事訴訟費用の引き下げという一つの方向性、その方向性と逆に先ほど山田委員が御質問なさいましたけれども、法務局における土地、建物の登記簿を閲覧したり、謄本を請求したりする際に支払う登記手数料、これの大幅値上げというか、相当大幅だと思いますが、この値上げの理由については先ほど承ったように理解いたしますので、少しその先を申しますと、国、地方公共団体それから特殊法人、これらの謄本請求等については無料であるというふうに伺っているんですけれども、コンピューター化による登記事務情報処理上の付加価値というもの、それを国や公共団体は無料である、しかし国民は払っていくわけですから、そのツケというと失礼なんですが、国民の方が一手に引き受けているような感じがするんですけれども、この無料であるというところの合理性というものがあれば伺わせていただきたいと思います。
○政府委員(清水湛君)
お答えいたします。
他方で、この登記につきまして乙号手数料を主要な財源といたしますところの登記特別会計制度というものができましたので、そういう制度のもとでは受益者負担というような原則を徹底すれば、国もあるいは地方公共団体も一人の受益者であるからそういうような負担をすべきであるというような考え方もあるわけでございます。
そういう面から見ますと、こういったたぐいのものも有料化すべきだというような議論も出てくるのかもしれませんけれども、しかしながら、このような登記特別会計制度を導入したからといって、国、地方公共団体等の事務の公共性、相互協力関係とかあるいは国の予算配分の合理性等というようなものを考えますと、やはり無料のままでそれなりの負担というものを考えるということも十分合理性があることではないのかというようなことも考えられるわけでございます。
○政府委員(清水湛君)
国なり官公署が登記所に登記簿の謄本を請求するという場合には、現在これは無料ということになっております。
登記特別会計のもと、そういう無料ということでいいのかというような素朴な御意見があることは私ども承知しているわけでございますけれども、官公署相互間の協力関係とか、あるいは例えば国の場合を考えますと、結局また一つの国の機関として相互に協力をいたしているわけでございますので、これを有料化するということについてはやや問題があるのではないか。
それから、一番大口なのは市町村が登記簿を閲覧する、これは固定資産課税台帳との突合という意味で一登記所の登記簿を全部閲覧してこれを課税台帳と照合するということが行われているわけでございまして、そういう件数が非常に多いのでございますけれども、登記所にかける手数というのはほとんどないというような実情がある。
そのほかに、国なり官公署が登記簿の謄本という形でこれを請求する件数というのはそれほど数は多くないというような問題もございまして現在のところ無料ということになっているわけでございます。
○金田(誠)分科員
そこで伺いたいんですが、なぜ官公庁あるいは公社公団、特殊法人などについては無料のままで据え置いて、なぜ一般の民間、こういう厳しい経済状況の中で手数料を引き上げなければならないのか。
これはもう理解に苦しむわけでございます。
まさに官尊民卑そのものだと思うわけでございますが、その辺何か弁明する言葉などございますか。
○細川政府委員
確かに、御指摘のとおり、現在、登記手数料令の第七条が適用される国、地方公共団体あるいは特殊法人からの職務上の請求につきましては、手数料を無料とする扱いとされておるわけでございます。
この扱いは、公共部門における相互の協力関係を促進する、こういう意味でございまして、従来から他の同様の制度についても同様なことが認められておるわけでございます。
さらに、この登記特別会計が創設されたときの衆議院大蔵委員会の附帯決議でございますが、昭和六十年四月のものでございますが、これでも、公共部門における相互の協力関係について、従前の慣行を尊重するようにという附帯決議がございました。
そういうことなどから考慮して、現時点ではこれは維持せざるを得ないということが私どもの考えでございます。
上の清水くんの答弁は、紙の簿冊の場合である。
コンピューター化も始まっていて、そっちの予算のときは進捗具合をアピールするのに、こういうときだけは昔の方法を強調している。
もっとも、現在では、「登記異動通知」(呼び方はいろいろ)という書類で一覧形式で市町村に提供されているらしい。
しかし、印刷した状態で受け取るため、マンパワーで突合しなければならず、ムダが多かった。
その問題も、ソフトウェアの改良で解消しつつあるとか。
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固定資産課税台帳を管理する
課税システムへ法務局から通知される
登記済通知書電子データの異動内容をコード変換し、異動処理の大幅な省力化を全国で初めて実現したソリューションです。
コンピューター化によって、「
一番大口なのは市町村が登記簿を閲覧する(
平成5年4月15日参議院法務委員会)」需要がなくなり、登記手数料令の免除規定の根拠もだいぶ変わってきたと思うのであります。
そこで、ここからは、市町村窓口で正規の
登記事項証明書が発行される時代の登記手数料令のあり方を考えてみたい。
追加資料
この「固定資産課税台帳」っていうのは、地方税法第382条のものだと思う。
手続きの流れは、
相続未登記と固定資産税実務について(土地総合研究所)を参照。
名称
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一般財団法人土地総合研究所 |
天下り |
理事長:元内閣官房都市再生本部事務局長 → 日本下水道事業団 → 三井不動産顧問
副理事長:元九州地方整備局副局長 → 元国土交通省総括監察官 → 日本道路交通情報センター理事
理事:元国土交通省土地・建設産業局長 → 都市再生機構副理事長 → 内閣審議官内閣官房地域活性化統合事務局長 → 一般社団法人不動産協会副理事長
理事:元近畿地方整備局副局長 → 不動産適正取引推進機構理事
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備考 |
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根拠法
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業務
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適正な土地取引監視、最適な土地活用・管理の在り方検討業務
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金額
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359万6400円
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2 |
根拠法
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業務
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平成27年度土地利用基本計画制度に関する検討会運営支援等業務
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金額
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183万6000円
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3 |
根拠法
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業務
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平成27年度 国土形成計画推進のための研修会運営支援等業務
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金額
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138万2400円
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4 |
根拠法
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業務
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民法改正に伴う不動産実務の対応方策検討業務
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金額
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798万6600円
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地方税法(昭和25年7月31日法律第226号)
(登記所からの通知及びこれに基づく土地課税台帳又は家屋課税台帳への記載)
「第382条 登記所は、土地又は建物の表示に関する登記をしたときは、十日以内に、その旨を当該土地又は家屋の所在地の市町村長に通知しなければならない。」
横浜市中央図書館がその経緯を調べていたので、載せておく。
地方税法第382条の規定が制定された趣旨及び経過について知りたい。
政府委員(平賀健太君
第七十八条の改正でございますが、本条は、土地の表示の登記において登記すべき事項を規定いたしたものでございます。
所有権の登記のされていない土地について、その所有者の表示及び共有の場合の持ち分を記載いたしますのは、所有権保存登記の申請適格者を明らかにしますと同時に、地方税法による土地の固定資産税の納税義務者を明らかにいたす必要があるからでございます。
要するに、現行法のもとにおける不動産登記簿の表題部の実質は大体同じようなことを一号からこの四号までに相当することを記載するわけでございますが、ただ現行法では、所有者を表示するということは、表題部ではやってないのでございます。
この案におきましては、所有権の登記がされれば、その所有者の表示は消しますけれども、まだ所有権の登記がされていない不動産につきましては、その表題部の所有者の表示をするということにいたしたのでございます。
これは現在の台帳と同じ建前なんでございます。
この調査結果は、調べてはあるんだけど、全然わからん。
そういうわけで、国会会議録を調べてみると、この質問に対する答えとしては、もっと前から載せなきゃいけなかったんじゃないかな、と思う。
現在、市町村税とされている固定資産税は、もともと地租&家屋税として国税だったのが、昭和22年に地方税となり、昭和25年に固定資産税としてまとめられた、らしい。
4.固定資産税(内閣府 税制調査会)
土地税制史-評価を中心として-(税大論叢39号)
で、昭和25年の地方税法改正時に、土地台帳・家屋台帳が税務署から登記所に移された、らしい。
そして、それまで、土地の異動は市町村経由で登記されていたものが、直接、登記所に対してする、らしい。
上の資料の「異動」通知っていうのは、ここから来てるんだろうね。
そして、市町村経由でなくなったってことは、今度は、登記所から市町村へ情報を流す必要が出てくる。
大臣の大橋くんの答弁には出てこないけど、そういうルートがあるんでしょうね。
この辺の経緯については、
第1章
不動産登記制度の概要 (愛知県公共嘱託登記土地家屋調査士協会)がわかりやすいかも。
○国務大臣(大橋武夫君)
現在の土地台帳及び家屋台帳は、土地家屋の状況を明らかにし、地租及び家屋税を徴収するために必要な事項を登録する課税台帳でありますと同時に、地籍、家屋籍に関する台帳といたしまして、不動産登記制度の基礎ともなつているのであります。
然るにこの土地台帳及び家屋台帳に登録する賃貸価格の調査決定は、税務署においてこれを行うこととなつております関係上、その台帳の事務は税務署の所管とされていたのでありますが、他方不動産登記の事務が登記所の所管でありますために、不動産制度の見地から考えましすならば徒らに手続を煩雑にし、事務処理の円滑を欠く憾みがあつたのであります。
今回、地方税法の改正が行われようとしておりますが、これによりますと地租及び家屋税は市町村がこれを徴収することといたしますとともに、その課税は、右の賃貸価格を基準とせず、毎年市町村において認定する土地家屋の価格を基準として行われることになりますが、その結果といたしまして、賃貸価格の登録をする必要がなくなり従つて又税務署において台帳事務を掌る理由も消滅することとなるのであります。
ここにおいて、土地台帳及び家屋台帳の事務は、これと最も関係の深い不動産登記の事務を掌る登記所に移管し、あわせて土地台帳及び家屋台帳の事務と不動産登記の事務との間に、ある程度の手続上の簡易化を図りますとともに、従来通り市町村に土地台帳、家屋台帳の副本を備え、市町村の課税上支障を生じないように双互の連絡を図ることと致したのであります。
以上申し述べました趣旨によりまして、土地台帳法、家屋台帳法、不動産登記法その他関係法律の規定に所要の改正を加えるため、この法律案を提出いたした次第であります。
以下この法律案の重要点を申し上げますと、先ず、土地台帳法の改正におきましては、第一に、土地台帳の事務を登記所に移管いたします結果、登記所に土地台目帳を備え、その登録の事務は、当該土地につき登記の事務を掌る登記所が掌るものといたしました。
第二に、今後は土地台帳に賃貸価格を登録する必要がなくなりますので、土地の賃貸価格に関する規定は、全部廃止することといたしました。
なお、市町村におきましては、土地台帳の副本に課税の基準となる土地の価格を記載することとなりますので、今後は土地台帳にも市町村長の通知により土地の価格を記載するものといたしました。
第三に、土地の異動に関する所有届の申告は、現在ではすべて市町村を経由してすることとなつておりますが、今後は、直接登記所に対してすることもできるものといたしました。
第四に、法令により登記名義人又はその相続人に代位して、不動産の表示の変更その他の前提登記を申請し、又は嘱託することができる場合でも、従来は、土地台帳法による申告を代位してすることができませんでしたため、種々手続上の不便を生じましたので、今後は、これらの登記を申請し又は嘱託し得る者は、土地台帳法による申告者に代位してその申告をすることができるものといたしました。
第五に、現在土地台帳の閲覧は許されないこととなつておりますが、今後土地台帳が登記所に移管されますと、登記との関係が現在以上密接となり、その閲覧の必要を生じて参りますので、従来の謄本の交付の制度の外に、新らたに土地台帳の閲覧を認めることといたしました。
第六に、現行の土地台帳法は、申告、土地台帳の副本等に関する重要な事項をもその施行規則においてこれを規定いたしておりますが、これらの規定を整理しまして、土地台帳法中にとり入れることといたしました。
第七に、罰則につきまして、他の法律における罰則との均衡を図るため必要な整備を行うことといたしました。
次に家屋台帳法の改正におきましては、土地台帳法の改正と同様の趣旨によりまして、第一に、登記所に家屋台帳を備え、その登録の事務は、当該家屋につき登記の事務を掌る登記所が掌るものとし、第二に、家屋の賃貸価格に関する規定を廃止するとともに、家屋台帳には市町村長が通知した家屋の価格を記載するものとし、第三に、家屋台帳法施行規則中重要な規定を家屋台帳法中にとり入れることといたしました外、家屋に関する申告、家屋台帳の閲覧、罰則の整備につきましても、土地台帳法と略々同様の改正を加えることといたしました。
更に不動産登記法の改正におきましては、第一に、現在、登記所が土地の所有権、質権若しくは地上権又は家屋の所有権の得喪変更等に関する事項の登記をしました場合には、これを税務署に通知して、税務署はこれに基いて土地台帳又は家屋台帳の登録を修正することとなつておりますが、今後はその必要がなくなりますので、その通知を廃止することといたしました。
第二に、現在不動産の所有権の保存の登記及び不動産の分割、合併その他表示変更の登記を申請する場合には、土地台帳又は家屋台帳の謄本を添附することとなつておりますが、今後はその必要がなくなりますので、これらの謄本の添附を要しないものと致しました。
第三に、不動産又は登記名義人の表示か、登記簿と土地台帳又は家屋台帳と符合しない場合には、その一致を図るための措置としまして、当該不動産又は登記名義人の表示の変更の登記により、先ずこれを符合させた後、他の登記をすべきものといたしました。
第四に、登記申請の手続の簡易化を図る意味におきまして、土地台帳法又は家屋台帳法による申告をする場合に、別に登記の登録税の納付があれば、その申告の外に、不動産の表示若しくは登記名義人の表示の変更の登記又は所有権保存の登記の申請があるものとみなして、その登記をすることといたしました。
で、おもしろいのは、昭和25年の改正で、台帳を税務署から登記所に移しちゃったもんだから、それまで所有権移転登記なんかがあれば、登記所から税務署に通知していた制度も廃止された。
意味ないからね。
ところが、国税としての地租(固定資産税)はなくなったんだけど、不動産を譲渡したときの譲渡所得について、所得税がかかってくる。
No.1440 譲渡所得(土地や建物を譲渡したとき) (国税庁)
となると、やっぱり税務署にも、市町村と同様に「異動通知」が必要になる。
で、地方税法に基づく通知のついでに、税務署にも法務局から通知を送っていたらしい。
問題は、コンピュータ化される前の登記所は、人手不足でそんなことまでしていられなかったってこと。
それが次に紹介する昭和45年の国会議事録。
○広瀬(秀)委員
国税庁長官お見えになっていますが、特に資産税課税関係で土地の譲渡、不動産の譲渡、こういうようなものについて法務省との関係の問題でございます。
つい最近の新聞に、法務省側でいわゆる税務通知といいますか、これを譲渡所得について拒否をするというような新聞記事が出たわけでありますが、法務省のほうにいろいろ聞いてみますと、これは拒否せざるを得ないようなことになりますということを昨年の秋に正式に大蔵省、国税庁に申し入れをしている。
その後その事態がなかなか改善されないということを新聞社がそういう形で表現したんだろうということなんでありますが、これは現場の現地第一線の地方の法務局なんかに行ってみますと、このことは常に非常に問題になっているわけです。
これは本来の業務ではないはずだということで、なるほど地方税法三百八十二条でこのことが明確に規定されている。
しかしこの譲渡所得に関して、国税について法律上の根拠は何もない。両者の打ち合わせ、申し合わせというような形でやられている。
同じ資料だから三部とって、市町村のほうにやる分と県にやる分と税務署にやる分とつくってもらうということはそうたいしたあれもないだろう、こういうことでやっているようでありますが、しかし、現実に法務局の登記関係の仕事、甲号事件、乙号事件、それぞれたいへんに事務量がふえております。
譲渡所得なんかも非常に急ピッチでふえているというようなこともあって、本来の仕事がかなりおくれてきているということの一つの原因がこれであるということは、これは否定できない現実だろうと思うのです。
そういう点があり、さらに臨時の職員でも雇ってもらいたいというようなことで、これも申し合わせのようでありますが、予算が年間どれくらいかかるということをはじき出して、単価をようやく四十四年で一人当たり一日雇うということで七百二十円程度にした、こういうようなことではもう人も集まらぬということになってくる。
人が集まらなければよけい法務省の内部で金を出して、高い賃金を払ってやらなければならぬというような事態もあるということだし、さらにまた法務局の本来の仕事が非常におくれているにもかかわらず、その税制のほうでも期限のある問題が非常にあるわけです。
土地税制の改革なんかの問題で、この時限で適用が終わるというような場合なんかについて、それでくくらなければならぬというような場合には非常に税務署からもせっつかれてくるというようなことで、さらに今度は窓口にたまって、登記事務を早く進行してもらいたいという人たちなんかに対して、特に三月期の決算時期だなんというときに、商取引上どうしても必要だというような書類なんかも一日も二日も一週間も延びるというような事例もあるのが実態です。
そういうようなことになっておりますから、この問題についていま何らかの形で、そういう点で法律上根拠を持たせるなら持たせる。
そうして持たせたならば、その事務をやる適正な人間を定員増として配置をするか、あるいは予算単価をもっと十分にやって、あらためてその要請をするというような、とにかくそういう措置を講じなければ絶えずあの不満は解消しない、こういう事態があるわけでありまして、法務省のほうでも国税庁から新しい提案があるのを待っているというような状況でありますが、その問題はどのように準備をし、新しい提案としてスムーズに問題が処理されていくように考えておられるか、この点を長官にまずお伺いいたします。
なぜかは知らんけど、昭和45年に指摘された問題が、平成に入っても解決していなかったらしい。
なに、これ?
○渡辺(嘉)委員
そして問題はまだ一つ、地方税法に基づきまして法務局から市町村への物件異動通知書が送付されてきますると、その虚偽の登記をいたしました分だけはこれを抜き取るんです。
抜き取りまして残りを国税当局に連絡提携でお示しをしていらっしゃる、だからこういうことがなかなかわからなかったわけですね。
こういうやり方は、脱税を目的とした、所得税法で規制している間接正犯ではなかろうか。
国税犯則取締法の正当な申告をさせないための扇動といいますか、あおり、唆しに当たるのではなかろうか、こう思うのですが、この点。
いま一つは、法務省、こういう異動物件の通知書を、この際は市町村のみでなくて国税当局にも直接通知をするという、二通つくればいいのですから、こういうふうにきちっと法整備を行って的確を期されたらどうだろうか、こう思いますが、それぞれ御答弁を賜りたいと思います。
○清水(湛)政府委員
地方税法三百八十二条の関係についてお尋ねでございましたので、その点についてお答え申し上げます。
現在の地方税法三百八十二条によりますと、表示の登記とか所有権移転の登記がありました際に、登記所は市町村に通知をするということになっております。
この通知は、市町村がその事務等をしております土地あるいは建物に対する課税台帳を修正させるということを目的としてされるものでございます。
ところが、国税の関係ではそういうような規定は目下のところございません。
つまり、固定資産の課税台帳を修正させるというような要素が国税の場合にはないということが一つの理由になっているものと考えられるわけでございます。
しかしながら、課税の適正を図るということは非常に大事でございますので、現在登記所では、税務署から要請がございますと、登記簿の閲覧とかあるいは申請書の閲覧については最大の便宜を図っておる、こういうことでございます。
これをさらに進めて、地方税法三百八十二条と同じような規定を国税についても設けるのが適当かどうかというようなことになりますと、先ほど申し上げましたような課税台帳の修正というような要素がないということに加えまして、登記所も現在非常に繁忙であるということもございますので、非常に困難な問題があろうかと思いますが、大蔵省当局ともよく相談してみたいというように考えております。